3軸マシニングセンターと5軸マシニングセンターについて解説!

最終更新日時: 2024/04/09 07:58

金属加工業界で重要な役割を担うマシニングセンター。その中でも、3軸マシニングセンターと5軸マシニングセンターは、加工の自由度と効率性を大きく左右する存在です。この記事では、3軸と5軸の違いや特徴、用途などを分かりやすく解説 します。

マシニングセンター

マシニングセンターとは?

まず、マシニングセンターの基本を押さえておきましょう。マシニングセンター は、切削工具を自動で交換しながら、多様な加工を連続して行う工作機械です。 主な特徴は以下の通りです。

  • フライス加工、ドリル加工、ボーリング加工などを1台で行える
  • 自動工具交換機能により、複数の工具を使い分けられる
  • NCプログラムによる自動制御で、高精度・高効率な加工が可能

3軸マシニングセンターの特徴

3軸マシニングセンターは、X軸、Y軸、Z軸の3方向に工具を移動させて加工を行います。その特徴は以下の通りです。

  • シンプルな構造で、比較的低コストな機械が多い
  • 操作性が良く、習熟に要する時間が短い
  • 汎用性が高く、様々な形状の加工に対応可能
  • 高速・高精度な加工が可能

ただし、3軸マシニングセンターには、以下のような限界もあります。

  • 複雑な形状の加工には、複数の段取りが必要
  • アンダーカット(下向きの面)の加工が難しい
  • 加工物の傾斜面や曲面の加工に限界がある

5軸マシニングセンターの特徴

5軸マシニングセンターは、3軸に加えて、A軸とB軸(または C軸)の回転軸を持 ちます。これにより、以下のような特徴があります。

  • 複雑な形状の加工を1度の段取りで行える
  • アンダーカットや傾斜面、曲面の加工が可能
  • 加工物の傾斜や回転により、最適な加工姿勢を維持できる
  • 高精度な加工が可能

ただし、5軸マシニングセンターには、以下のような課題もあります。

  • 機械の構造が複雑で、コストが高い
  • 操作やプログラミングが難しく、習熟に時間がかかる
  • 干渉チェックや工具経路の最適化など、高度な知識が必要

3軸と5軸、どちらを選ぶ?

3軸と5軸、どちらのマシニングセンターを選ぶべきでしょうか。選択のポイント は以下の通りです。

  • 加工する製品の形状や要求精度
  • 生産量や納期
  • 導入コストと投資回収の見通し
  • オペレーターのスキルと教育体制

一般的に、シンプルな形状の加工が中心で、コストを抑えたい場合は3軸が適しています。一方、複雑な形状の加工が多く、高精度が求められる場合は5軸が適しています。

ただし、5軸マシニングセンターを導入する場合は、以下のような準備が必要です。

  • CAM システムの導入と運用体制の整備
  • ポストプロセッサの準備と検証
  • オペレーターの教育と習熟度の向上
  • 保守・メンテナンス体制の構築

5軸加工の活用事例

5軸マシニングセンターは、様々な業界で活用されています。代表的な事例を紹介しましょう。

  • 航空機産業:ジェットエンジンのブレードや機体部品の加工
  • 自動車産業:エンジンブロックやシリンダーヘッドの加工
  • 医療機器産業:人工関節や歯科インプラントの加工
  • 金型産業:プラスチック射出成形用の金型加工

これらの事例に共通するのは、複雑な形状の加工が求められる点です。5軸マシニングセンターの自由度の高さが、高品質な製品の製造を可能にしています。

これからのマシニングセンター

今後、マシニングセンターは以下のような方向に発展していくと予想されます。

  • 5軸加工のさらなる高度化と普及
  • 高速・高効率加工技術の進歩
  • AI や IoT を活用した加工の自動化・最適化
  • 3Dプリンターとの連携による複合加工

3軸と5軸、それぞれのマシニングセンターの特性を理解し、自社の加工ニーズに 合わせて適切に選択・活用することが、ものづくり企業の競争力強化につながる でしょう。

まとめ

3軸マシニングセンターと5軸マシニングセンター、どちらも金属加工業界になく てはならない存在です。3軸は汎用性と低コストが魅力ですが、複雑な形状の加工には限界があります。一方、5軸は加工の自由度が高く、高精度な加工が可能ですが、コストと習熟の難しさが課題です。 自社の加工ニーズや製品の特性、投資余力などを総合的に考慮して、最適なマシ ニングセンターを選択することが重要です。また、5軸加工を活用するためには、CAMシステムやポストプロセッサ、オペレーター教育など、周辺の準備も欠かせません。 マシニングセンターの技術は日進月歩で進化しています。5軸加工の高度化、AI・IoTの活用、3Dプリンターとの連携など、新たな可能性も広がっています。こうした技術動向を踏まえつつ、3軸と5軸のマシニングセンターを上手く使い分けるこ とが、ものづくり企業の成長戦略の鍵を握るでしょう。

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