レーザー加工とタレパン加工の違いは?

最終更新日時: 2024/05/23 08:49

板金加工の分野では、様々な加工方法が用いられていますが、その中でもレーザー加工とタレパン(タレットパンチプレス)加工は、非常によく使われる加工方法です。両者は、板材に穴や切り込みを入れる加工という点では共通していますが、加工の原理や特徴には大きな違いがあります。この記事では、レーザー加工とタレパン加工の違いについて詳しく解説します。

レーザー加工の特徴

レーザー加工は、高エネルギーのレーザー光を利用して、材料を溶融・蒸発させることで加工を行う方法です。以下のような特徴があります。

  1. 高速・高精度:レーザー光の集光性が高いため、高速かつ高精度な加工が可能です。
  2. 非接触加工:レーザー光による非接触加工のため、工具の摩耗がありません。
  3. 複雑な形状の加工:CADデータを直接利用して、複雑な形状の加工ができます。
  4. 様々な材料に対応:鉄、ステンレス、アルミ、銅、チタンなど、様々な材料の加工が可能です。
  5. バリの発生が少ない:熱加工のため、バリの発生が少なく、後工程が簡略化できます。

レーザー加工は、これらの特徴から、高精度・高品質な加工が要求される分野で広く使われています。

タレパン加工の特徴

タレパン加工は、タレットパンチプレスを使って、材料に穴や切り込みを入れる加工方法です。以下のような特徴があります。

  1. 高速・高効率:金型を使った機械的な加工のため、高速・高効率な加工が可能です。
  2. 多種多様な加工:パンチ金型を交換することで、様々な形状の穴や切り込みを入れられます。
  3. 低コスト:レーザー加工に比べて、設備投資が少なく、ランニングコストも安価です。
  4. 薄板の加工に適している:薄板の加工に適しており、高速な量産が可能です。
  5. 金型の管理が必要:金型の摩耗や破損、管理などのコストがかかります。

タレパン加工は、これらの特徴から、大量生産が必要な分野や、コストダウンが求められる分野で活躍しています。

レーザー加工とタレパン加工の主な違い

レーザー加工とタレパン加工の主な違いを、以下の表にまとめます。

項目 レーザー加工 タレパン加工
加工原理 レーザー光による溶融・蒸発 金型による機械的加工
加工速度 高速 非常に高速
加工精度 非常に高精度 高精度
加工コスト 比較的高い 比較的安い
適した材料 鉄、ステンレス、アルミ、銅、チタンなど 主に鉄、ステンレス
適した板厚 薄板から厚板まで 主に薄板
金型の必要性 不要 必要
複雑形状の加工 得意 不得意
バリの発生 少ない 多い

レーザー加工は、高精度・高品質な加工が可能ですが、設備投資やランニングコストが高くなる傾向があります。一方、タレパン加工は、高速・高効率な加工が可能で、コストも比較的安価ですが、金型の管理が必要で、複雑な形状の加工は不得意です。

加工事例

レーザー加工とタレパン加工の加工事例を紹介します。

レーザー加工の事例

  • 自動車部品:高精度な穴加工や切断が必要なパネルや、ブラケットの加工
  • 医療機器部品:ステンレス製の手術器具や、医療用部品の加工
  • 電子機器筐体:スマートフォンやタブレットの筐体の加工

タレパン加工の事例

  • 電気制御盤:制御盤や配電盤の筐体の加工
  • OA機器部品:コピー機やプリンタの筐体や部品の加工
  • 家電製品部品:エアコンや冷蔵庫の部品の加工

これらの事例からも、レーザー加工とタレパン加工がそれぞれの特徴を活かして、様々な分野で活用されていることがわかります。

加工方法の選定ポイント

レーザー加工とタレパン加工、どちらを選ぶべきかは、以下のようなポイントを考慮して決定します。

  1. 加工する製品の特性:求められる精度や品質、デザインの複雑さなどを考慮します。
  2. 生産量:大量生産が必要な場合は、タレパン加工が適しています。
  3. コスト:設備投資やランニングコスト、金型コストなどを総合的に判断します。
  4. 納期:短納期が求められる場合は、加工時間の短いタレパン加工が有利です。
  5. 材料:加工する材料の種類や板厚に応じて、適した加工方法を選びます。

これらのポイントを考慮し、自社の製品特性や生産体制に適した加工方法を選定することが重要です。

まとめ

レーザー加工とタレパン加工は、ともに板金加工の分野で広く使われている加工方法ですが、加工原理や特徴に大きな違いがあります。レーザー加工は、高精度・高品質な加工が可能ですが、コストが高くなる傾向があります。一方、タレパン加工は、高速・高効率な加工が可能で、コストも比較的安価ですが、金型の管理が必要で、複雑な形状の加工は不得意です。

自動車部品や医療機器部品、電子機器筐体など、高精度・高品質な加工が求められる分野ではレーザー加工が活躍しています。一方、電気制御盤やOA機器部品、家電製品部品など、大量生産が必要な分野ではタレパン加工が活用されています。

加工方法の選定に際しては、製品の特性や生産量、コスト、納期、材料など、様々な要因を総合的に判断する必要があります。自社の製品や生産体制に適した加工方法を選ぶことが、効率的で高品質な加工の実現につながります。

レーザー加工とタレパン加工、それぞれの特徴を理解し、適材適所で活用することが、板金加工業界での競争力強化に役立つでしょう。加工技術の進歩にも注目しながら、最適な加工方法の選択と活用に努めることが重要です。

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